るーすぼーい評

車輪FDや夏の燈火、A Profileなどは未プレイ。「車輪の国」「G線上の魔王」のみをプレーした上での感想を以下に述べてみる。

ぶっちゃけるーすぼーい=人形劇の人と思っています。

単刀直入に言ってしまうとギミックと世界設定に拘泥しすぎていて、その上それをそのまま強引に結論に結びつけてしまう非現実性。そしてキャラクターが動いているというよりは背後にいる創造主に動かされているその居心地の悪さによるところの「人形劇」。

正直、「物語なんだからフィクションでいいじゃない」とか言えないレベルにはお粗末。無論、自分もその場その場では感動したり感心したりしてしまう(残念なことに!)のだけれども、いざプレーが終わった後ふと落ち着いて考えてみると、整合性が取れていない場所が多数思い浮かぶこととなる。

中でも一番酷かったのがG線上の魔王。序盤は主人公が犯人(魔王)だとずっと疑っていたハルが終盤にその疑惑が晴れるとなると途端に「ずっと好きでした……」と何の前触れもなく変節してしまうところでしょうか。ねえ、これ純愛なの? どうなのよ? と思わないほうがおかしい。正にキャッチコピーに偽りあり。

日常シーンの小気味良さ*1と謎解き要素のお陰でなんとかコンプまでたどり着けはしましたが(G線に至っては期待値も割とあったしな)、物語そのものに引き込む力としては邪道と思うところが多々あり、プレイ後感の悪さは異常。私的にはエロゲ(言えるほどやってないけどな!!)史上最悪規模。あの時軽薄にも涙を流してしまった罪悪感に苛まれるこの鬱々感。「あの時の感動を返して!」と叫んでもいいですか?

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ライトであれハードであれるーすぼーい支持者が言うところの長所は主要なところを挙げるとすれば「人間の強さに感動しました」とか「伏線が素晴らしい」「深遠な思想が物語内に通底している」とかでしょうか。まぁ逝ってることは分からんでもないけど、先々で述べたとおり、そんなことは全く思わない。
むしろゆとり乙!みたいな?
「車輪きたああああああああああああ神!」とか「車輪で死刑制度を反対だと思いました」とかどんだけだよと鼻白むのが常である。前者はゆとり以下のゴミ米として無視するとして、後者は現実世界と物語を動かすための歪な世界(創造主・るーすぼーい)との区別が全く付いていない分、空恐ろしい。

「まあ、きっかけとしては良いんじゃない?」とか殊勝な事など言ってられない。いや、マジなところ「もっと勉強してくれ」。世の中はそんなに単純には出来ていません。物語と現実との区別が全く付かないようであれば掛かり付けの医師への相談をおすすめする。

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結論として、るーすぼーいのシナリオには深遠な思想も、人間ドラマ(純愛や家族愛)もございません。
ギミックを駆使しての空虚なお涙頂戴があるだけ。
よってよく言われるところの、比較対象としてロミオを俎上に上げる行為は適切ではない。比較するなら*2健速乙あたり。しかし、根底に流れる思想は健速のがずっと安定しているし、無駄にややこしくしない分誠実。反面、るーすは一体何がしたいのか、何を伝えたいのかがいまいち分からない。
個人的に下するーすぼーいへの評価は健速乙以下の期待株といったところ。同人も入れると割とキャリア長い人なんですけどこの世界じゃまだまだ「若手」の内。直木賞だとかの前にまずはエロゲで天下を獲って欲しいですね。桜庭と違ってエロゲ界には彼を求めている人は大勢いる(自分含め)わけですし、まだまだやれることはある。

*1:これは賛否あるけれど個人的にはOK。鍵よりも。

*2:奈須きのこも比較対象として適かもしれん。